今年は映画をね、ちゃんと見ようかなと思ってるんですよ。
僕、もともと映画がすごく好きなんですけど、去年は結構忙しくて、映画をね、ほとんど見られなかったんですよね。
見たいなと思ってる映画もわりとたまっちゃってるんで、今年はね、きちっと物語に触れようっていうふうに思っていまして。
で、最近ね、「バビロン」っていう映画を見たんですよね。
公開が一昨年の2月くらいなので、もうだいぶ前に公開された映画をいまだに見られてなかったんですけど、デイミアン・チャゼル監督の作品で、僕、元々デイミアン・チャゼル監督の作品がすごく好きなんですよね。
好きなのに見てなかったんですよ。
理由としては、ひとつは忙しくて全然映画が見られてなかったのと、あともうひとつ。
「バビロン」長いんですよね。
3時間超えなので、ちょっとまとまった時間が取れないなっていうので、先延ばしにしてたんですけど。
いや、でもね、良かったですね、「バビロン」。
でね、いろんな人のレビューを見てたら、割と賛否両論の映画なんだなって感じなんですけど、僕はすごい好きでしたね。
デイミアン・チャゼル監督が好き、なのでこれも好き、みたいなところもあるといえばあるんですけど、それを差し引いてもすごくいい映画だったなと思いますね。
デイミアン・チャゼル監督は「セッション」とかさ、「ラ・ラ・ランド」とか、あと「ファースト・マン」とかを撮った監督で。
僕は特に「セッション」と「ファースト・マン」がすごい好きで。
正直言うと一番有名な「ラ・ラ・ランド」は個人的にはあんまり好きじゃないんですけど、とはいえ、「セッション」と「ファースト・マン」があまりにも好きすぎて、デイミアン・チャゼル監督は僕の中では個人的にお墨付きの監督なんだけれども。
「バビロン」って、いわゆる1920年代の、古きアメリカのハリウッド映画制作の現場を舞台にした映画なんですよね。
映画制作をモチーフにした映画なんですよ。
1920年以降の栄枯盛衰みたいなものを描いている作品で、かなり過激に描いている作品でしたね。
でね、中身は知らない人も多いと思うから、「こういうストーリーでね」みたいな語り口でしゃべってもアレだから言わないけど。
なにがいいって、やっぱりね、人間の性みたいなものがちゃんと描かれてるなって思ったんですよね。
人間って、いい人と悪い人がいるわけではもちろんないし、いいところと悪いところがあるわけでもないっていうふうに僕は思っているんですよね。
その人の性質って、いろんなものを混ぜた絵の具みたいなもので、いいとか悪いとかって言い切れないところがほとんどだと思うんですよ。
「バビロン」に出てくる人たちって、まあまあむちゃくちゃやってるんですよね。
薬もやるし、乱痴気騒ぎもするし、いかれた人ばっかり出てくるんだけど。
3時間強を見ていて、その人たちの愛おしさみたいなものがすごく感じられる作品で、でも、その愛おしいっていうのは、その人たちがいい人だから愛おしいわけでもなんでもなくて、すごく無茶苦茶なんだけどもなんか愛らしい人たちだなっていうふうに感じられるようにね。
どこか人間の物悲しさみたいなものも、ハリウッド映画の盛衰の中で感じさせてもらえるような作品になっていて、うん、こういう作品ってやっぱり大事だよなって思うんですよね。
現代社会って、「いい悪い」っていうところに分断されやすいじゃないですか。
特にSNSとかで、個人の発言っていう圧が強くなっているからさ。
昔はさ、そういうのがない時代っていうのは、例えばテレビを見たら、注文つけたければ一部の人がテレビの制作会社に電話してさ、テレビ局なんかにね、文句言うぐらいのことだったけど。
でもそんなことする人も一部なわけじゃないですか。
今はちょっと感想があったら全部SNSに投稿できちゃうから。
それで、まあ、ちょっと不謹慎なことがあったらもうボロカス叩かれちゃうしで、個人でもね、少し過激な発言をしたら炎上しちゃうしっていうところで、ひとつの物事でもその善悪っていうのをきっちりつけたがる世の中だなって思うんですよね。
なにを善とするかっていうのは人それぞれ違うにしても、ひとりひとりの人間を深く見ていった時に、そんなに「いい悪い」なんてことってないわけじゃないですか。
この人は悪い人だとか、この人はいい人だとか、この意見は正しいとか、この意見は間違えてるって言えることってあんまりなくて、それはひとつの側面だけ切り取るからいい悪いとかっていうことが生まれるんであって、他の側面から見たら別にそうとも言い切れないよねってことがほとんどだと思うんですよね。
でも、現代社会の仕組み上、そういう「いい悪い」に分かれやすい、分断されやすい世の中になってしまっているっていうだけの話だと僕は思っていて、でも、そういうものじゃないよねっていうのは、わかっておくべきだと僕は思ってるんですよね。
そういうことを客観的に感じることができるツールっていうのが、エンターテインメントなんじゃないかなっていうふうに思うんですよ。
でも、エンターテインメントもさ、あんまりわかりづらいと支持されないからね。
「いい悪い」っていうのをはっきりつけて描くものっていうのがやっぱり多いなって思うんですよね。
悪いことをしてしまう人っていうのは映画の中にも出てくるけど、そこにはちゃんと背景があって仕方がなかったんだみたいな描き方をしていたり。
「いい悪い」という人間の多面性っていうものがごちゃってなっている映画って、最近すごく減っているような気がするんですよ。
そんななかで「バビロン」ってそういう描き方ではなくて、人間のごちゃっとした部分をそのまま描いていて、僕はすごくね、こういう映画っていいなって思いましたね。
賛否両論っていうのは、そういった分かりづらいところに出ているんじゃないかなっていうふうにも思うし。
まして尺も長いし、そういったところで、あんまり好きではないっていう人も多かったのかなっていうふうに思うけれどもね。
僕は個人的には、エンタメが担うべき役割っていうのは、そういう人間の多面的なところを描いていくことなんじゃないかなっていうふうに思いますね。
そういったものに日々触れていれば、人間の感覚っていうのも少しずつ変わってね、寛容なものになっていくような気もするから。
エンタメの果たすべき役割っていうのは大きいと思うし、そういういい作品がたくさん生まれていってほしいなっていうふうに思います。
「バビロン」を見たことないっていう方はね、ぜひ、サブスクでも見られるようになっているので、ぜひ見ていただきたいです。はい。
ともあれ、今年は映画を多めに見ようかなというふうに思ってます。
はい。今日はそんなところで終わりにしようかなと思います。
今回もありがとうございました。バイバイ。