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オンライン喫茶しゃびのオフなひととき(テキスト)

486.個性とはハイブリッドであるということ

今回は個性について話をしようかなと思っていて、結論を言うと結論そのものがタイトルになるわけですけど、個性とはハイブリッドであるっていうことだと思うんですよね。

唯一無二であるものっていうのは世の中にはほとんどないんじゃないかなと思っていて、逆に唯一無二のものを目指しすぎてしまうと、むしろ凡庸なものができるっていうふうに思ってるんですね。
なにが言いたいかっていうと、これはそのクリエイティブなことに限らずですけど、なにかを真似するっていうことがすごく僕は大事だと思っていて、でも、真似をするって誰でもできることではなかったりするんですよね。
誰でもできることだけれども、ひとつね、勇気が必要なことだと思ってるんです。
なんでかっていうと、自分の思考様式だとか行動様式っていう慣れ親しんだものがそれぞれあるわけですよ。
で、人の真似をするというのは、自分の思考様式だとか行動様式を捨てる行為なんですよね。
それってすごく怖いことでもあるわけですよ。
嫌なことでもある。

例えばですけど、自分がパフォーマンスを発揮するためには、きちっと睡眠をとることが必要だって思ってたとするじゃないですか。
朝とかずっと眠い状態で仕事をすると、パフォーマンスが発揮できないから、やっぱり早めに、10時とか11時ぐらいに寝る。
7時間とか8時間、睡眠をきっちりとるっていうのが大事だよねって思っている人がいて。
一方で、すごく成果を上げている人が集中している時っていうのは、寝る時間をある程度惜しんでたって、どんどん成果を上げていけるものなんだ。
だから、やると決めたら、1日2時間とか1時間の、なんなら寝なくてもいいんだっていう考えの人がいたとするじゃないですか。
睡眠時間を削る人の方が自分よりもよほど成果を出していたとして、その時にその人はね、自分はやっぱり寝ることが大事だって思っていて、寝たいって思ってるわけですよ。
でも、成果を出している人の真似をするためにはね、寝るっていうことを捨てなければいけないわけです。
そこで、「この人すごいと思うけど、寝ない方がいいっていうのは違うよね」ってやってしまうと、もうすでにその人を真似できていないっていうことになるわけですよね。
それっていろんなことにあるような気がしてて。

僕は比較的真似をするのが好きな方なんですけれども、例えば営業するってなった時も、ゴリゴリお客さんにいろんなことを提案するというか、強気な営業マンの人がいたとします。
でも、すごく穏やかで、お客さんのことを気遣って、あまりお客さんが嫌だなと思うことはしたくないなって思う営業マンがいま自分だったとして、その人の真似をしようと思ったら、お客さんに嫌われるかもしれないっていう自分を一回捨てないといけないんですよね。

もしかしたら、自分はそのお客さんに嫌われないようにしようという人の良さによって、ある種よかった面もあると思うんです。
そのことによって信頼してもらえて、「あなただったら契約してあげようかしら」とかっていう経験もきっとあったはずなんですよね。
で、そういったいい経験っていうのもかなぐり捨てて、ゴリゴリと前に進むっていうことをやらなければいけない。
それで本当に相手が嫌だなって反応をしたら、やっぱりこのやり方をしたら相手に嫌われてしまうんだ、断られてしまうんだっていうことで傷つくわけですよ。
でも、その人の真似をするということは、自分は傷つくかもしれないし、もしかしたら相手に不快な思いをさせるかもしれないっていうことも一旦了承した上で、それを真似しなければいけないっていうところがある。

なんでこれを臨機応変にやっちゃいけないかというと、臨機応変にカスタマイズしてしまうと、自分の今までやっていたものに限りなく寄せてしまうんですよね。
自分のやっていたものに寄せて人の真似をしたって大して意味がないんですよね。
だから、本当に同じように真似をするっていう、その勇気が必要だっていうふうに僕は思うんですよ。
うん、これは僕ができているっていうよりは、そういうふうに心がけているっていうことですね。

個性っていう話を考えた時に、その人が「誰と出会ったか」っていうことがまずひとつの個性だと思うんですよね。
自分の身の回りにいる人を全員真似する必要はなくて、自分が「この人すごいな、見習うべきところがあるな」って思った人を真似すればいいわけであって、たぶんそんなに多くないと思うんですね。

自分が真似をしたいと思う人って、ひとつやふたつ参考にすることはありますよ、誰にでも。
でも、そのまま真似をしようっていう人ってそんなにいないと思うんですね。
でも、そういう人を見つけたら、自分で判断せずに全部真似をした方がいい。

自分が「この人いいな」って思ったことも個性じゃないですか。
自分が出会った人とまったく同じ人に出会っている人なんていないわけですから。
出会った個性的な人たちのラインナップから、自分がいいなって思う人を選ぶ。
で、その人のものを真似してみる。
そのあとに起きてくるのが「真似できない」という事実なんですよね。

結局、人間性とかキャラクターが違うから、同じように真似したとしても同じようにならないんですよ。
特に僕、営業やってて思うんですけど、その人の雰囲気だとかね、キャラクターだとかしゃべりかたとか顔とか動きとかで完全にインストールできるものじゃないから、同じようにしゃべっているようでも同じふうにならないんですよね。
で、真似して真似して真似して真似して、ここは自分が真似できないところなんだってなって初めてそこでノリ付けするというか、自分のキャラクターと、その人のやっている、今自分が真似していることを組み合わせてひとつの形を作っていくっていうのが、僕が営業で苦労してた時にね、やってたことだったりして。

それでひとつの型ができて、ずっとやっていくと、またすごいなっていう人が出てきて。
一旦それを真似してみようかしらってやると、自分の中で真似した型っていうのがふたつ、みっつ出来上がってきて、で、そこにもともとの自分のパーソナリティとかキャラクターっていうのが重ね合って、ひとつの個性っていうのが出来上がるっていう風に思ってて。
営業なんか特にそうだし、たぶん、こうやってしゃべっているのだってそうだし、お芝居しているのだってそうだし、なににしても、たぶんそうだと思うんですよね。絵を描くのとか。
僕は絵、描かないけどね。

自分の中で唯一無二のものがあるっていう考えは、僕の意見では一回捨てた方が良くて、唯一無二っていうのは、そうやって形作られる自分っていうのから始まるというよりは、人っていう、自分がインストールすべき、真似するべき対象っていうのが先にあって、そこから自分の個性っていうのが磨かれていくんだっていう。
そういう方が、個性っていうのを発揮しやすいんじゃないかなって思ったので、今回はそういう話をさせていただきました。

ただね、ちょっと余談というか、補足をすると、初めから人の真似をするのはあんまりよくないような気がしてて。
誰の真似もしなかった場合どうなるかっていう、自分のスタートラインは絶対知っておいた方がいいから、まずはあんまり真似しすぎずに、自分なりにやってみて、しばらくやってから「こういう感じなんだな」って、「自分はなにも真似しないとこういう感じになるんだな」っていうスタートラインがわかった上で、人のインストールを始めるっていうのがいいんじゃないかなっていうふうに思いますね。

「守破離」っていう言葉があるけど、守破離の説明をするとちょっと長くなっちゃうから、わからない人は調べてほしいんだけど、たぶんね、「守破離」の前に「自由」があると思う。
自分なりにやってみるっていう。
で、「守」って「型を身につける」ってところ。
自分なりにやってみるのや、型を身につける「守」っていうのがあって、その後、「破」があって「離」があって、っていう感じかなっていうふうに僕は思いますね。
人によってやり方、プロセスは違うと思うから、僕はそうしてます。
参考にしてもらえれば嬉しいです。

ということで、今回は終わりにしようかなと思います。
今回もありがとうございました。バイバーイ。