ちょっとここだけの話といいますか、ここだけの話をね、誰でも聞ける場でするっていうね。
ちょっと変な感じなんですけれども、おそらくあんまり関わりのある人は聞いてないだろうというところで、いいかっていうのでしゃべっちゃうんですけど。
僕、お芝居やってるんですね。
MAMEHICOっていうカフェがあってね。
そこの舞台でちょいちょい演劇をしたりだとか、あと、ラジオをやったりとか、ラジオもね、ラジオドラマっていう形で、お芝居のラジオやったりとか、そういったことをやってるんですよね。
4年ぐらいかな、うん。
僕はもともと役者ではないから、4年前に初めて演劇っていうものに触れてね、この4年間ぐらいずっとやってたんですよ。
楽しいなと思ってやってたんですけど、ちょっとね、やっぱり飽きてくるんですよ。
飽きてるってのは、とっくに飽きてきてるわけですよ、もう、しばらくね。
去年はそこにすごく向き合って、自分はお芝居が好きなはずなのに、やってて楽しくないなって思いながらやっててね。
友達には演劇の経験が豊富な人もいるから、「他のところで演劇をやってみたらどう?」っていうふうにアドバイスをもらったことも複数あってね。
それはやっぱり、MAMEHICOのカフェの舞台っていうのは、そんなに本格的な劇をやるところではなくて、出ている人もカフェのスタッフだったりとか、素人の人たち、僕も含めてね。
それでやっているから、演技の技量がものすごく高いものではないんですよね。
そういったものを価値にしようとしているわけではないですよ。
だから、長く続けると、なんだろう…、自分が真似するべき対象っていうのは当然いなくなってくるわけですよ。
だって、周りも素人だからね。
自分は何年もやっていくわけだから、「この人のこういうところを取り入れよう」っていうことはだんだんなくなってくる。
で、もっと演劇を楽しむ、演劇を上手になるってことで言えば、自分がもう全く敵わない人たちがいるようなところに移って、演劇経験20年ですみたいな人のところに行ってやるっていうのが、ひとつ自分が今から演劇を楽しむための条件になってくるのかなっていうふうに思うわけですね。
僕自身、飽きるっていうのがすごく苦手なんですよ。
もともと僕はひとつのことにブワーッてのめり込んで10年も20年もやり続けるようなタイプではなくて、なにかを始めて、ある程度自分の中での成功法則がわかって、「ここまで伸びたな」って。
ここから先はそこまでのとんとんと伸びる領域じゃないなってなったら、もうやめてしまって、次に進んだ方が、結果的に自分のあらゆる方面の伸びしろが出てくるわけじゃないですか。
だから、仕事にしてもなににしても、いろんなことをやる方が好きなんですよね。
同じことを続けるっていうより、自分の不得意なこともやってみたかったり、得意なことを伸ばしてみたかったりってやるから、自分の人生の中で飽きてるものをやるっていうのにはわりと無縁だったんですよね。
自分が飽きないように生きてきたからそうなんだけど、今、芝居においてはそのようなことが去年から起きていて。
で、周りの人からは「他のところに行ったら?」って勧められて。
確かに自分はそうすると飽きないで成長の伸びしろをまた楽しむことができるかもしれないなって思ったんですよ。
でも、自分にとって演劇っていうのが、いろんな場所を渡り歩いてまで追求していくべきものとは感じていないってことに気づいて。
だから、どんどん自分が成長できる場を探して渡り歩いて、「どんどん演技が上手くなった、技術的に上手くなった、楽しいな」ってやるのが僕にとっての芝居なわけではなさそうだなっていうふうに思ったんですね。
どっちかっていうと、それとは別のところに、僕は演劇の楽しさを見出しているところがあるんです。
僕にとって技術的なことっていうのは、ある程度必要なんですよ。
それはある程度は身につけてきたつもりなんだけれども、お芝居の訓練って、僕の中では日常生活が訓練になっていると思っているところがあるので、自分がいかに日常生活の中で、芸の肥やしっていうか、そういったものを見つけていけるのかっていうことの方が大事だなっていうようなことを思ったり。
僕はお芝居をしたいっていう動機よりも、人前でなにかをやりたい、プレイヤーでありたいっていう欲求の方が強いんですよね。
これも僕にとっては人前に出てるっていうのに近い行為なんですよ。
と考えると、どっかの劇団に入ってやってもしょうがないよねって、そういうことが自分はしたいんじゃないよねっていうふうに思った時に、じゃあ演劇自体やめてしまおうかっていうふうにも一瞬思うわけですよ。
だって、僕は人前に出てなにかプレイヤーとしてありたいだけで、演劇がやりたい、演劇をずっと続けていきたいっていうのともちょっと違うのだとしたならば、飽きてしまった場所でずっと芝居を続けていても仕方がないっていうことになるわけじゃないですか。
うん。だって、やってても興奮しないわけですよ。
それじゃあどうしようかなって、年末年始とかすごい考えた時に、不自然な感じがしたんですよね。
やめるのが。
お芝居をやめるということ。
お芝居っていうか、今自分がやっている場所で、芝居を今やめてしまうことが不自然なような感じがしたんですよ。
これはなんで不自然なのかって、ある程度言語化はできているんだけれども、(それでもまだ)言語化しきれていないところではある。
どちらかというと人間関係っていうところなのかな。
僕は4年間そこで色々お世話になってやってきたわけでね。
初めに演劇に出たきっかけというのは、今の話とは違って、積極的に自分がやりたいって言って出してもらったところなんですね。
しかも僕は演劇が未経験だった。
なにもやったことなかったし、演劇を見たことがないから、どういう感じのものが演劇かよくわからない状態で「出たいです」って言ったんですよね。
そういう自分を主役として抜擢してもらって、初めての演劇という体験をしたわけです。
それは僕にとってはものすごく人生の中でもおっきい体験で、それがなかったら今の自分は絶対にないなって言い切れるものであるというふうに思った時に、それを自分の中での動機が失われたから、「じゃあ次」って、不自然な感じがしたんですよね。
じゃあ、それからどういう気持ちでやっているかというと、どちらかというと仕事っていう感じでやっているのに近いですね。
もちろん出してもらえることはありがたいし、全く楽しくないわけじゃないですよ。
もともと僕、人前でなにかやったりするのが好きだから、その時点でそこそこ楽しいんだけど。
でもなにかこう、感覚としては仕事という感覚に近いっていうふうに思ってて。
ただ僕、演劇に出たからといってお金もらってるわけじゃないから、いわゆる「サラリーをもらって働くイコール仕事」っていうことで言うと、仕事じゃないんですよ。
だから、僕は仕事だと思ってやっているのに、お金はもらってないってことが起きているんだけれども、そこにひとつは僕の中での興味があるし、もうひとつはそれが割としっくりくるっていうのがあるんですよね。
その興味っていうのは、自分が今まで飽きて、いろんなチャレンジの場を移しながらここまで来たっていうバックボーンというか背景があって、それは自分にとって良かったと思うんですよ。
いろんなことが身につけられたからね。
でも、そこから先っていうのを続けた時に、自分はどういう感覚を得るのか、どういう風景を見ることができるのかっていう興味が一点と、もうひとつは、自分の中でそういうエゴイスティックなもの、自分はすごくエゴイスティックな人間だからね、自分の動機を一番大切にする人間なんですよ。
人のどうのこうのよりも、自分の動機が一番大切な人間なんだけれども、自分の中で、自然であるっていう感覚を大事にしたいなっていう。
そういったことをひっくるめて、感覚として仕事っていうふうに言い換えるのがしっくりくるな。
それを選んでいる自分も不自然じゃないような気がするので、今はそういう感じでやっているっていう感じですね。
ちょっと否定しておきたいのは、一生懸命やらないっていうことじゃなくて、一生懸命やるんだけど、自分の中で、こうやったらもっと上手にできるんだ、こうやったらもっと楽しんでもらえるんだってことに、前のめりで興奮しながらやるっていう感情がないっていう、あんまりないっていうだけの話ですけどね。
一生懸命やるのは変わらないし、芝居っていうのはね、いろんな気づきを得ることができるから、やってて楽しいっちゃ楽しいわけですよ。
人ってどういうものなんだろうな、自分はどういうことを感じているんだろうな、あの時自分はどういうふうに感じたのかなっていう、自分の人生を振り返って、自分の感情を呼び覚まして、その自分が演じる役柄との一致点を見出すみたいな行為っていうのは、自分の中で学びも大きいっていうのはもちろんあるから、そういう意味でも面白いっちゃ面白いんだけどね。
そういうわけで、自分が今答えを持っているわけではないんだけれども、なにかに飽きてしまった時に、飽きても続けているっていうのも、先になにかがあるのかもしれないなっていうのは、最近よく思ってきた。
最近、この件でよく思ってきたので、自分に照らし合わせてね、考えてもらえると嬉しいなと思います。
自分が今それを続けているわけじゃないから、やってみたらこうなったよっていうことは言えないんだけどね。
その感覚を得たら、またその話をしようかなっていうふうに思います。
逆の人もいるかもしれないよね。
飽きてしまっても申し訳ないから続ける、そういう傾向にあるっていう人はさ、「飽きても続ける」っていうことをインストールしない方がいいと思うけどね。
だってその人はもう、飽きても周りの人に気遣って続けている方なわけだから、それはちょっと違うものをインストールした方がいいと思うけど。
自分と似たようなタイプの人はね、参考にしてみてもらえるといいかなっていうふうに思います。
はい、今日はそんなところで終わりにしようかなと思います。
今回もありがとうございました。バイバイ。