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オンライン喫茶しゃびのオフなひととき(テキスト)

493.アカデミックのすすめ

なにをするにしてもですけど、自分の中にアカデミックな要素って持っておいた方がいいよねって常々思うんですよね。

僕は営業職をしているんだけど、営業職をするって目的としては、お客さんから商品を購入してもらうとか、契約をしてもらうとか、そういうことですよね。
自分がなにかを提案して、お客さんが商品を買ってくれるっていうゴールまで持っていければ、営業職としては成功なわけですよ。

でも、そううまくはいかないわけですよね。
そんな簡単にお客さんは物を買ってはくれないし、契約してはくれないわけで、ゴールまでたどり着くいろいろな方法について考えるのが僕らの日々やっていることではあるんですけれども。
それはそれとして、その中にアカデミックな要素って絶対にあった方がいいよなって思うんですよ。
日々の営業活動の中に、ですよ。

アカデミックってなにかっていうと、「学術的な」とかって意味だと思うんだけど、なにかを探求したいっていう気持ちがどこかにあった方がいいっていうことですね。
その探求っていうのが、すなわち自分の営業結果に直結することである必要はないと思ってるんですよ。

例えば、僕の場合は法人営業職をしているんですよね。
だから、会社に訪問をするんですよ。
会社に訪問して、こちらで出しているサービスについて契約をしてもらうっていうのが仕事になってると。
その中でアカデミックな要素があるとすると、僕はどっちかっていうと業界とかを知るのがすごい好きなんですよね。
例えば出版会社に行った時に、出版会社の担当者の人にこっちのサービスについて色々話したり聞いたりするんだけど。

そもそも出版業界ってどういう業界なのかな。
昔はこうだったけど、今はこうなってるのかな。
その中で会社ってどういう立ち位置なのかな。
会社に勤めているその人ってどういう部署に所属している人で、どういう立ち回りをしていて、どういうことをするとその人の成果になるのかな。
とかっていうことを知るのが好きなんですよね。

これって営業活動をする上で大切なことではあるんですよ。
お客さんを知るってことだから大切なことなんだけど、営業結果に結びつけるために自分がそれを知ろうとしているっていうよりは、シンプルに、その業界はどういうところなのかっていうのを知るのが好きなんですよね。

例えば他の出版会社に行った時に、(以前訪問した会社の)あの人がそういうこと言ってて、ここでも同じような状況があるのかなって、似た状態があるわけじゃないですか。
同じ業界だからね。
でも、やっぱり会社の立ち位置としては違うんだなとか、そういった違いもわかってくると、どんどんその業界に対する知識が深まっていくわけじゃないですか。
そういう全体像を地図みたいな形で作っていくのが僕は好きで。

これは必要だからやってるというよりも、好きだからやってるんですよね、ここを掘る作業っていうのが。
未来に対して、この業界って未来はこうなっていくのかもしれないな、みたいなことを自分の中で想像したりする。
そういうのが好きなんですよ。

日頃お芝居とかをしていて、自分が演じるっていうことももちろん好きなんだけど、そもそもが「人間ってどういう生き物なんだろう」っていうことを色々知っていくのが好きなんですよね。
「こういうセリフがありました」って時に、なんでこの人ってこういうセリフを言うんだろうな、こういうことがあるからこういうセリフを言うんだろうな、じゃあどういう感情でこの人はそういうセリフを言うんだろうか。
みたいなところから、人ってこういうシチュエーションでこういうことを言うんだな、とか。
その人が言う背景には、その人の生い立ちみたいなところも含まれていて、こういう幼少期を送った人っていうのは、こういう傷を負いやすいとかさ、こういうことを求めやすいとか、そういったことを知っていくのが好きっていうか。
うん、全部が個別具体なのが嫌なんですよね。

人それぞれなんだと思うんですよ。
人間なんて、僕は僕、あなたはあなた、あの人はあの人なんだと思うけど、同じ人間なんだから、やっぱりなにかしらの傾向があったり、抽象化できるものっていうのはきっとあるはずで、それってなんなんだろうなっていうことに関して掘り下げていくのがすごい好きなんですよね。
それはもちろん、演技には生かされるわけでしょ。
そうすると、自分が演じる役柄を考えるときの素養になってくるから、より解像度高くその人を演じることができるっていう。

役には立つんだけど、役に立てるためにそれを知ろうとしているっていうよりは、それを考えたり知ったりすることそのものが好きなんですよね。
僕の場合は、物事とか、人の構造とか、ちょっとマクロで見たところを知りたいっていうような。
仕事をしていても芝居をしていても、そういうことについて考えたり知ったりしたいなと思うけど、人によってアカデミックな部分に対する活動みたいなものは違うと思うんですよね。

だから、僕が今話したような内容ではなくても全然いいし、そんな同じはずはないんだけれども。
なにかを取り組む上では、自分の中でワクワクするところっていうか、もっと知りたいなって、もっと探求していきたいなって、そんなことがあった方が、なにかをするときの活力になるような気がするんですよね。

これね、後輩と仕事をしている合間に感じたことなんですよ。
その後輩はね、同じ営業職をやっていてもテンション上がってなくて、僕がすごく楽しいと思っていることについても、あんまり楽しいと思わないんですよね。
なにをやっていてもあんまり楽しくないんですよねって言って、結果的に成果もなかなか上がってこないっていう時に、その人なりの面白ポイントを探求して、楽しいポイントが見つかってくると、仕事に対する活力にもなってくるし、そこをきっかけに営業にも繋がりやすくなってきたり、みたいなね。
そういうことがあるんだろうな、なんてね、その子を見ていて思ったんですよね。

それぞれやっている仕事も、皆さんと私とでは違うし、仕事以外でやっている取り組みに対しても、色々違うところは多いと思うんですけど。
今、自分がやっていることに対して、どこか探求したいところがあるだろうかっていう視点で考えてみると、自分の日々の活動が楽しくなるんじゃないかな、なんてことを思ったので、今回はそういう話をさせていただきました。
ご自身の活動がより楽しくなるきっかけになったら嬉しいなと思います。

はい、そんなところで、今回も終わりにしようかなと思います。
今回もありがとうございました。バイバイ。