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オンライン喫茶しゃびのオフなひととき(テキスト)

519.「お芝居」のすすめ

だいたい1年ぐらい前からになるのかな。
毎月1回ラジオドラマを録っていて。

ラジオドラマって言っても、ほんとにいわゆるAMとかFMみたいなラジオで配信されてるわけじゃなくて、音声ドラマって言ったらいいのかな。
YouTubeで配信してるんですけど、音声でちょっとしたお話を30分とか40分くらいなのかな、そのくらいのお話をね、収録して配信してるんですね。

僕はその中のメインのキャラクターをやっていて、そこに毎回いろんな登場人物が出てくるんですけど、その登場人物っていうのがね、今までお芝居とか音声のコンテンツとかね、そういったことをまったくやったことがない、言ってしまえば素人の人。
僕もプロじゃないから素人なんだけど、なにもやったことない人を誘って出てもらったりして、ラジオを録ったりしてるんですよ。

面白いもんで、演劇ってなってくるとちょっとハードルが高くなるんだけど、ラジオって収録だし、やり直しができるんですよね、演劇と違って。
映像が出てこないから、声の部分さえうまいことできていれば成り立つというところで。
だから、映像作品、ドラマとか映画をやったり、舞台でお芝居やったりするのよりはハードルが低いのかなっていうところがあって。
それで、僕らの縁の中でね、いろんな人をお誘いして録ったりしてるわけですよ。

やっぱりね、お芝居っていうとハードルが高い感じがするじゃないですかね。
まったくやったことのない人にとってみれば、芝居をするってすごくいいような響きというかさ、あんまり自分がやるとは思えないみたいな、そういうところがあると思うんですけど。

僕も実際、お芝居をちょこちょこやるようになって5年ぐらい経っていると思うんですけど、それまではね、まったく自分がお芝居をやるなんて思ってなかったんですよね。
実際見に行くこともなかったですし。
あんまりお芝居って見に行かないじゃないですか。
そういうのが好きな人以外って。
だから、あんまりお芝居自体を見たことがなかったし、当然やったこともなかったんだけど、きっかけがあってね、やることになって。
で、僕にとってはすごくね、お芝居をやったっていうことがいい経験になってるんですよね。
自分の人生の中でも、やっぱお芝居をやったことによってすごくいいことがたくさんあって。
だから今でも、たくさんやってるわけじゃないんですけど。
演技するのはまったく仕事ではないので、仕事をしている傍ら、趣味みたいな感じでやってるわけですけど。

もし機会があったらやってみるってすごくいいような気がしていて。
お芝居ってちょっと特殊なんですよね。
他の趣味に比べて。
ギターをやるとか、ダンスをやるとか、ピアノをやるとか、サッカーを習うとか、そういうのともね、ちょっとお芝居って違ってて。

それがね、どういうところかっていうと、実際に僕らって半ば芝居をしながら生きているようなところってあるじゃないですか。
自分の頭の中で思ったことを全部言ってるわけでもないし、感情をすべて表に出してるわけではないと思うんですよ。
すごく朗らかな人であっても、思ったこと全部言ってる人はいないと思うし、感情がすごく表に出やすい人でも、全部出てる人っていうのは絶対いないはずなんですよね。
自分がどう見えているのか、自分がどう感じているのかっていうことと、自分がどう見せたいかっていうことを天秤にかけて、感情表現っていうのは、やっぱり人間ってコミュニケーションの動物なので、やると思うんですよね。
だから、ふだんいろんな振る舞いをしているっていうことの延長線上に、演劇っていうのがあるので。

実際に演劇をやってみると、ふだん人になにかを伝えるっていうのも、(演劇を)やる前と比べて、できるようになってくるっていうね。
演劇をやり始めたことによって伝え方が上達していく、伝わりやすい伝え方ができるようになっていくっていうね、そういうのは僕の中にはあって。
実生活にもプラスに働いたりするので、演劇はおすすめだよっていうのがまずひとつあるのと、あとはね、すごく表裏一体で、今から逆のこと言うんですけど。

「誰でもできるんですよ、ピアノ」って。
誰でもできるっつったって、やっぱり習わなかったら曲は弾けないわけじゃないですか。
いきなりなにか曲を弾こうと思っても、まったくピアノをやったことない人は弾けないじゃないですか。
まずはドレミファソラシドの音符がこういう並びになってるのねって覚えて、音符の見かたがわかって、音楽とは言えないような、練習用のバイエルとかって教本があるじゃん、そういう曲を練習して、やっと簡単な曲が弾けるようになりました、みたいになるわけじゃないですか。
ダンスとかも、初めからダンス踊れる人っていなくて、いろいろレッスンを受けながらできるようになるんですけど、芝居って上手いか下手かを抜きにしたら、誰でもできるわけでしょ。
見よう見まねでセリフを言って動いて、みたいなことは一応できるわけじゃないですか。
さっきも言いましたけど、実生活の延長線上みたいなところがあるからね。
だから誰にでもできるっていうね、いろいろ学ばないとできないわけじゃないっていうのがまずひとつ、いいところかなと思うんですけど。

ただ逆もあって、練習すりゃ誰でも上手くなるってもんでもないっていうのもあるんですよね。
これがちょっと厳しいところで。
プロの劇団とかだとさ、ある程度芝居の経験を積んだ人が入ってくるんだろうからわかんないけど。
僕はわりと、今までやったことない人にちょっと教えたり、そういう人たちと一緒に取り組んだりすることが多いので、いろんな人を見てきたんだけれども。
誰でも上手くなれるってわけでもないっていうのが、演劇の厳しいところでもあるんですよね。
向き不向きがかなりあるっていうのは、僕の実感の中ではあるかな、なんていうふうに思いますが。
ただ、すごく上達したいってことがなければ、誰でも始めることはできるっていうところで言うと、敷居が高そうに見えて低いものではあるのでね。

僕はすごく、皆さんに演劇というかお芝居をおすすめしたい。
ちょっとぐらいは習ってみるのもいいんじゃないっていうか、ちょっとぐらいは試しにやってみるのもいいんじゃないっていうふうに、機会があればですけどね、思いますね。

さっき言いましたけど、伝え方が上手になるっていうことがまずある。
アウトプットが上手になるっていうところもあるし、別の側面で見ると、自分のことがよくわかるようになるんですよね。
お芝居って、自分のいろんな面を見せることによって成り立たせるものなので、内省するきっかけになるんですよね。
自分の中から「じゃあこのシーンを演じるにあたってはどういう感情を出せばいいのか」みたいなのを考えるのには、自分の過去を引っ張り出してこなければならないし、あの時ああいう気持ちになったなって、どういう感覚だったかなみたいなことをいろいろ思い出したりして、それで演じたりするので。
自分のことをすごくよく知る機会になりますね。

だから芝居をやっているとね、日常生活で自分が今ちょっとピッと来てるなとか、なんで今嫌な気持ちになったのかなとか、ウキウキしてるけどなんなのかなとか、なにも起こってないのにむしゃくしゃしてるのはなんでなんだろうとか、そういったことに感度が高くなってくるっていうかね。
そういうところがあるんですよ、うん。

とはいえ、お芝居が広まっていきづらい背景って、やるきっかけがなかなかないっていうのはありますよね。
劇団に入るほどでもないし。
1回ぐらいやってみたいなって思っても、じゃあ1回やらせてくれる人がまわりにいるかっていったら、いなかったりもするから。
そういう意味ではね、始めてみるのも、きっかけをつかむのが難しいのかもしれないけど。
もしこれを聞いている方でぜひやってみたいなって方がいたら、声をかけてもらえればそういう機会を作ってあげられるように努力しようかなと思いますので、やってみたいなって方がいたら、教えてください。

ということで、今回の話を終わりにしたいなと思います。
ありがとうございました。バイバイ。